ワーク・ライフの傾向と対策 vol.98
総務省の「労働力調査」は、日本の就業・不就業の状況を把握するため,全国約4万世帯を対象に毎月行われているものです。今年2月には、労働力調査の詳細集計の結果から「転職者」の状況がピックアップされています。
ここでそのポイントをご紹介しましょう。
【2019年の転職者数は351万人と過去最多】
近年、企業では人手不足感が強く、新卒採用に加えて、積極的に中途採用・経験者採用を行う動きがみられるのは、みなさんよくご存じのことだと思います。
転職者数の推移をみると、2006年および2007年(ともに346万人)をピークとして、2008年のリーマン・ショックの発生後、2010年にかけては大きく減少しました。
しかし2011年以降は緩やかな増加傾向で推移し、2019年の転職者数は351万人と過去最高を記録しています。
転職者比率(就業者に占める転職者の割合)を年齢階級別にみると、「55~64歳」および「65歳以上」は2019年に過去最高となっています。
男女別にみると、2002年以降、女性の転職者数が男性をおおむね上回る水準で推移している点も注目です。
【「より良い条件の仕事を探すため」の転職が増加】
転職者について前職の離職理由をみると、事業不振や先行き不安などの「会社都合」により前職を離職した転職者は、リーマン・ショックの翌年の2009年に大きく増加しましたが、2013年以降は減少しています。
一方で、「より良い条件の仕事を探すため」という理由は、2013年以降増加傾向で推移しており、2019年は127万人と、2002年以降で過去最多となっています。
よりポジティブな動機で転職に臨む人が増えているようです。
【正規雇用間の転職、非正規→正規の転職が増加】
転職者について、前職および現職の雇用スタイルをみると、ビフォー・アフターで雇用形態が変わらない「正規雇用→正規雇用」あるいは「非正規雇用→非正規雇用」のケースが多数を占めています。
2019年の転職者について、前年からの増加幅(22万人増加)の内訳をみると、「正規雇用→正規雇用」の転職が9万人の増加、「非正規雇用→非正規雇用」が2万人の増加となっています。
もちろん、ビフォー・アフターで雇用形態が変わる「非正規雇用→正規雇用」「正規雇用→非正規雇用」という転職もあります。
「15~54歳」の年齢層に注目すると、2012年以降、8年連続で「非正規雇用→正規雇用に転換した者」が「正規雇用から非正規雇用に転換した者」を上回る状況が続いています。
全体として正社員化が進んでいると言えますね。
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