ワーク・ライフの傾向と対策 vol.91
求職者が応募する企業を選ぶ際の指標とするものといえば、仕事内容や事業の将来性、年収、福利厚生制度、社風、職場の人間関係など、多岐にわたります。
その中で近年、改めて重視されるようになってきたのが、各企業が掲げる「理念」です。特に20代前半より下の若い世代は、競争の勝ち負けや報酬の多寡を気にするのではなく、自分に合った価値観を選ぶ傾向が強いとされ、就職の面でも会社の理念に共感できるか否かを重視します。
あなたが20代前半でなくても、企業の理念には目を向けていただきたいと思います。
世の中の変化に応じて、会社も変わっていく必要があります。しかし社員の考え方や進む方向がバラバラだとしたら、会社という組織はスムーズに変化できません。変化の多い現代にあって、会社が生き残り、成長していくためには、求心力を発揮する理念が必要なのです。
そもそもの話になりますが、企業の理念とは、企業の存在意義や使命を表明したものです。平たく言えば「何のために会社は存在するのか、どういう目的で、どのような形で経営を行うか」ということを明文化したものです。経営戦略、採用活動、人材育成など、企業活動のすべては理念が軸となります。
ホームページなどを見ると、言葉の使い方はいろいろですが
●会社が目指す世界観を表す「ビジョン」
●会社の使命や任務を表す「ミッション」
●価値観、行動規範を表す「バリュー」
という階層に分けて理念が明記されていることが多いです。
たとえばフォーラムキャリアのグループ企業であるテンプスタッフフォーラムでは、
「社員一人一人の成長と積極的な発想・行動により、企業と人との『幸せな出会い』を創出し続ける人材サービス企業です」
との一文を《テンプスタッフフォーラムの使命》と位置づけ、《テンプスタッフフォーラムのビジョン》《テンプスタッフフォーラム社員の行動指針》と合わせて「テンプスタッフフォーラムの経営理念」としています。
さて、求職活動の話に戻りましょう。
新卒、転職を問わず、求人に応募する際「○○という理念に共感しました」と、理念に共感したことを志望動機をアピールするケースは少なくありません。
しかし、こうした文章は、○○を差し替えればそのまま別の会社の志望動機になることにお気づきでしょうか。つまり、これだけでは何の説得力もないのです。
特に社会経験のある方の転職活動の場合は、その会社の理念に共感した上で、自分なら何ができるか、何をしたいかまで深く考え、相手に伝えることが重要になります。
実はこの作業、企業に対する理解を深めるだけでなく、自分自身に対する理解を深めることにもなるので、転職を進める上で非常に有意義な作業になるのです。
企業の理念に目を向け、自分の価値観に目を向ける。ぜひそんな転職活動を意識してみてください。
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