ワーク・ライフの傾向と対策 vol.84
前回、前々回のブログでは「トランジション(転機)」をキーワードとした複数のキャリア理論について紹介しました。
キャリア理論について知りたいという意見をいただきましたので、もうすこしだけ紹介します。
【キャリア・アンカー】
「キャリア・アンカー」は、アメリカの組織心理学者エドガー・H・シャイン氏によって提唱されたキャリア理論です。
この理論では、個人がキャリアを選択する際、これだけは譲れないという価値観や欲求を、人生の舵取りの要となる「船の錨=アンカー」と位置付けています。そしてキャリア選択において、「どのように働きたいか」「どんな人生を送りたいか」という点に焦点をあて、8つの価値観を定義しています。
(1)管理能力
責任あるポジションで組織を動かしたい。出世したい。
(2)専門能力
専門分野で活躍したい。現場の仕事を続けたい。
(3)安全・安定
将来を見通せる安定した環境で働きたい。
(4)起業家的創造性
新事業を起こしたい。最終的には起業したい。
(5)自律と独立
自分のペースやスタイルを守って働きたい。
(6)奉仕・社会貢献
医療や福祉分野などで人の役に立つ仕事をしたい。
(7)純粋な挑戦
新しいこと、難しいことにチャレンジしたい。
(8)ライフスタイル(Lifestyle)
ワークライフバランスを重視したい。
自分はこれだ、というキャリア・アンカーはありますか?
転職活動に臨む際も、自分のキャリア・アンカーは何かを明確にすることが大切ですね。
【ライフキャリア・レインボー】
こちらは1950年代に米国の教育学者のドナルド・E・スーパー氏が発表したキャリア理論です。
ここでは、個人のキャリアは、人生におけるさまざまな役割(ライフロール)の組み合わせであると定義されています。「子ども」「職業人」「家庭人」「親」「市民」など、キャリアを構成する各ライフロールの重なり合いを「虹」の概念図に集約させたことから、この名前があります。
概念図を見ると、40~50歳代が各ライフロールが最も多く重なり合い、仕事でもプライベートでも果たすべき役割が厚くなっています。
たとえば40代に入ると、「職業人」という役割では責任あるポジションを任されてやりがいを感じる一方、「家庭人」としては、子どもの進学について考えるべき時を迎えます。いずれの役割も人生の中で自分が果たすべき役割です。
ぜひ一度この概念図をチェックしてみてください。
「〇年後に自分が果たすべき役割」についてあらかじめ理解しておけば、自分のビジョンを明確にできます。
いかがでしょうか。
これまで紹介してきたように、キャリア理論は「仕事人生」についてだけ説くものではありません。
仕事を含め自分はどんな人生をどう生きるか、ということを考えるヒントにしていただければと思います。
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