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ワーク・ライフの傾向と対策 vol.83

キャリア理論としての「トランジション」(2)

前回から「トランジション(転機)」をキーワードとしたいくつかのキャリア理論について紹介しています。

ビジネスパーソンとして働いている方にとっては、入社15年目あたりがいろんな意味で転機がやってくるタイミングになるかもれません。「個人としてスキルアップして結果を出す」という思いが強くなる一方で、部下ができ、マネージャーとして従来とは異なる役割や成果が求められるようになる時期でもあるからです。
そうしたご自身の転機をイメージしながら、お読みいただければと思います。


【ニコルソンの理論】

ロンドン・ビジネス・スクールのN.ニコルソン氏は「キャリア・トランジション・サイクル」モデルの提唱で知られています。
これは、トランジションは、準備→遭遇→適応→安定化の4つのサイクルをぐるぐると回りながら上昇していくことで展開されていくという考え方です。

「準備」:新しい世界に入る準備段階
「遭遇」:新しい世界で現実の状況に直面する段階
「適応」:新しい役割や人間関係に徐々に適応していく段階
「安定化」:新しい役割、人間関係に慣れて安定する段階

転職活動にあてはめて考えれば、十分な準備段階を経て転職し、新しい職場で新しい役割を担い、徐々に仕事や環境に慣れていき、落ち着いて仕事ができるようになる、ということになります。


【クランボルツの理論】

スタンフォード大学のJ.D.クランボルツ氏は、人のキャリアはほとんどが「偶然」で決まると考えました。そして偶然に起こったトランジションを、主体的に自分の中に取り入れることができる人が結果的に上手にキャリア形成していけるとしています。

自分のキャリアを厳密に決めるより、常に好奇心、持続性、楽観性、柔軟性、冒険心を持ちながら自然な流れに身を委ねてみて、なにがしかのチャンスがきたときに前向きにチャレンジしてみると、結果的に良いキャリアが築いていけるということでしょうか。


いかがでしたでしょうか。

今回は「トランジション」というキーワードに沿っていくつかのキャリア理論を紹介しましたが、他にもまだまださまざまな理論があります。

現代は長期的な展望をもってキャリアを継続する見通しが立てにくい時代です。「定年までこの会社で勤めたい」と考えていても、さまざまな要因から転職を余儀なくされることも珍しくありません。
そんなときにキャリア理論という知識があれば、主体的なキャリア選択や、自分自身の生き方について深く考えることが可能になるのではないでしょうか。

キャリア理論はあくまでも単純なモデルなので限界はあります。どれかひとつを信奉するというより、自分に合いそうだなと感じた理論を見つけ、複数を自由に組み合わせるといいかもしれませんね。 一覧に戻る >

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