ワーク・ライフの傾向と対策 vol.72
さて、今回は「男の転職、女の転職」というタイトルで転職に対する行動や価値観における男女の違いについて考えたいと思います。
まず、平成29年8月に発表された厚生労働省の「平成28年雇用動向調査結果」から、男性の転職の傾向、女性の転職の傾向をそれぞれ読み取ってみましょう。
【転職者が前職を辞めた理由は―】
同調査では、平成 28 年1年間の転職入職者が、前職を辞めた理由を聞く設問があります。
男性の場合は「その他の理由(出向等を含む)」26.4%を除くと、回答が多かった順に、
「定年・契約期間の満了」16.5%
「給料等収入が少なかった」12.2%
となっています。
前年比で上昇幅が最も大きかった回答は、「給料等収入が少なかった」で、1.7 ポイント上昇となっています。
女性の場合はどうでしょうか。
同じく「その他の理由(出向等を含む)」(23.3%)を除くと、
「定年・契約期間の満了」13.2%(前年 11.5%)
「労働時間、休日等の 労働条件が悪かった」12.3%(同 13.8%)
という順に回答が多くなっています。
上昇幅が最も大きかった回答は、「会社の将来が不安だった」で、2.2 ポイント上昇しています。
男女ともに転職理由のトップになっている「定年・契約期間の満了」は、契約上の理由ですので置いておくとして、注目すべきはそれぞれ2番目に多い回答です。
すなわち、男性は「収入」、女性は「働きやすさ」の観点から、転職を決めているという点です。
【男女別・離職理由は―】
同じ調査で、離職者に対してその理由をたずねる設問があります。
男女別に離職理由をみると、結婚、出産・育児、介護などの「個人的理由」によるものは、男性は 8.5%、女性は 13.7%となっています。
こうした調査結果を見ていくと、一般的に女性のキャリアプランは、男性のキャリアプランよりも考えるべきことが多いことが分かります。結婚や出産・育児など、キャリアに大きな影響を与える人生のイベントがいくつもあるので、寄り道や回り道、スピードダウンはつきものです。「育児と両立しながらどう働くか」「育児がひと段落した後にどのようにキャリアを再スタートさせるか」などといった視点で、社員にこだわらずにパートタイムや派遣で働くという選択をする人も少なくありません。
最近では、女性の働きやすさを重視して、時短勤務など福利厚生を充実させる企業も増えてきています。転職や再就職の際は、そうした点も考慮するといいでしょう。
当社では、女性の転職サポート実績も豊富にありますので、ぜひご相談ください。
女性のキャリアには、ライフイベントに伴う寄り道や回り道、スピードダウンがつきもの、と言いましたが、回り道に見えて実は近道だった、というようなこともあります。スピードを緩めて進むことで、キャリア街道をガンガン飛ばしていく人には見えない、美しい風景に気づくこともできるのではないでしょうか。
一方で今後は、男女を問わず、これまでの価値観に拠らない多様な生き方、多様な働き方を選ぶ人が増えていくと思われます。夫婦共働きが当たり前の時代になれば、男性の転職の選択肢も、もっと広がるかもしれませんね。
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