ワーク・ライフの傾向と対策 vol.60
「終身雇用制度の崩壊」という言葉をよく耳にするようになりました。
終身雇用とは、企業が従業員を生涯にわたって雇用することを差す言葉で、年功序列制度と並んで日本型経営システムの典型とも言われます。もっとも制度といっても法律などで定められているものではなく、各企業が優秀な人材を自社に確保しておくために取り組んでいる慣行的なものです。
賛否両論がある終身雇用制度ですが、バブル崩壊、リーマンショックを経て、国内の少子化や国際競争力の低下などさまざまな要素を背景に、現在は多くの企業で機能しなくなっています。これが終身雇用制度の崩壊と呼ばれる現状です。
一方で、長く終身雇用制度が基本となっていた日本においては、同じ会社で安定して働くことを理想とする人は少なくありません。
そこで今回は、長く働ける会社や仕事を見つける3つのポイントを紹介したいと思います。
【長く働ける会社や仕事を見つけるポイント(1)】
まずは、客観的なデータとして、各社の「平均勤続年数」「入社3年後離職率」をチェックしてみましょう。
「平均勤続年数」は、その会社に勤めている社員全員を対象とした在籍年数の平均値です。昔から、長く勤めるにはエネルギーや交通などのインフラ業界がいいと言われていますが、専門誌に発表されているランキングを見ると、確かに電力、ガス、鉄道関連の企業が多くランクインしています。
「入社3年後離職率」は、新卒入社者のうち3年以内に離職した人の割合を示すものですが、転職組にとっても入社後の働きやすさを計る目安のひとつとなるでしょう。
【長く働ける会社や仕事を見つけるポイント(2)】
客観的なデータを検証することも大切ですが、次のステップとして自分自身の「長く働くための基準・条件」を明確にする作業も欠かせません。たとえば、前職より年収が高くなったとしても、仕事内容に不満があれば長く働き続けることは難しいでしょう。
人間関係、仕事内容、福利厚生、年収、企業の成長性など、転職先選びの重点は人それぞれです。理想がすべて叶う転職は実際問題としてあり得ませんが、「ここだけは譲れない」という軸を持って転職活動を行えば、長く働くための前提が整うはずです。
【長く働ける会社や仕事を見つけるポイント(3)】
長く働ける会社や仕事を見つけるポイントの3つ目は、視点を変えて、会社側から「長く働いてほしい」と思ってもらえるための努力をすることです。
入社前、転職活動中にもアピールできることはたくさんあります。「即戦力となるスキル」「専門的な知識」「前職で身につけたノウハウ」など、自分の強みときちんと分析・把握することはもちろん、転職希望先の会社の事業内容や展望について理解を深め、そこに自分のスキルを当てはめて「自分ならこんな部分で貢献できる」「自分の強みをこう活かしたい」とプレゼンするといいでしょう。
いかがでしょうか。まとめると
●客観的なデータを参考にすること
●転職の軸を明確にすること
●自分の強みを活かす場を見つけていくこと
が大切だということです。
これを最後の転職にしたい、次の会社で長く働きたいという方は、ぜひ意識して取り組んでみてください。
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