ワーク・ライフの傾向と対策 vol.5
厚生労働省が発表した2015年7月の有効求人倍率は、前月比0.02ポイント上昇の1.21倍と92年2月以来の高水準となっています。都道府県別では東京(1.76)、福井(1.65)、岐阜(1.56)、愛知(1.54)富山(1.50)の順に高くなっています。
有効求人倍率はハローワークで仕事を探す人1人に対する求人数を示しています。倍率が高いほど転職希望者に有利な、いわゆる「売り手市場」の状況となります。
転職チャンスが到来しているとも言えますが、ここには大きな落とし穴があります。
転職を希望する人は、キャリアアップだったり、人間関係の良さだったり、収入アップだったりと、何か「理由」や「目的」があって転職を決めたはずです。ところが売り手市場の中で多くの企業・仕事の選択肢を見せられると、あれこれ目移りして本来の転職目的を見失ってしまうことが多々あります。職場環境を重視するはずだったのに、会社の知名度で決めてしまい、実際に働き出してから後悔する…ということはよくある話です。
そうして入退社を繰り返していてはキャリアアップができないばかりか、本当にやりたい仕事を見つけたときに不利になります。基本的に転職回数が増えれば増えるほど内定率は下がりますし、転職歴が○回以上の人は採用しないと明確に線引きしている企業もあります。
また有効求人倍率はさまざまな職種を含む全体の平均値であり、職業別に見ると数字にかなり偏りがあります。売り手市場だからと安易に転職活動を始めると、職種によっては苦戦を強いられます。
転職の「理由」「目的」を忘れない。それが転職売り手市場の落とし穴を回避する秘訣です。
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