ワーク・ライフの傾向と対策 vol.159
雇用を取り巻くトピックやトレンドは日々移り変わっています。
パーソル総合研究所では、こうしたトレンドの移り変わりについて即時的・直接的に把握する目的で、2023年より、日々更新される各種SNS・ブログ・掲示板・レビューサイトなどのデータをリアルタイムに分析・公表する「はたらくソーシャル・リスニング」プロジェクトを進めています。
2024年11月には24年上半期(4月1日~9月30日)の分析結果が公開されています。
前年同期からの「はたらく」に関する投稿増加率が高かった上位10ワードを、2回に分けてご紹介します。
「通称使用」は、戸籍上の本名ではなく、別の氏名(旧姓など)を日常生活で使用することです。一般的には既婚者が結婚後も旧姓を通称として使う慣行を指すことが多いです。
昨年度の自民党総裁選における選択的夫婦別姓制をめぐる議論の中で、職場などでの通称使用について多くの言及がなされ、ネットでの議論も盛り上がりを見せました。
2023年から2024年にかけて、いわゆる「スポットワーク」「スキマバイト」の労働市場が大きく伸長しました。空き時間を利用して面接なしで働くことができる気軽さから利用者は急速に増えています。
一方で「仕事内容が事前に聞いていた内容と異なる」「労働条件が異なる」といったトラブルも散見されました。
アプリでマッチングを完結させるスキマバイトのプラットフォームは、人材サービス業のみならず他業界からの参入が見られ、事業者側の経営動向も大きな話題になりました。
顧客からの迷惑行為・過剰要求であるカスハラは、メディア報道が激増し、2024年最も話題を集めたワードの一つです。東京都で条例が可決するなど、カスハラについて進む規制強化の流れの中で、労働者の安全配慮義務の観点から対応を迫られる企業 はここから多くなることが予想されます。
ネットではカスハラに加え、「パワハラ」「モラハラ」といったハラスメント全体のワードへの言及が増加傾向です。
「2025年の崖」とは2018年の経済産業省のレポートに登場した言葉です。このレポートは、システムの老朽化や人材不足により2025年以降、最大12兆円/年(現在の約3倍)の経済損失が生じる可能性があると指摘し、企業に対してデジタルトランスフォーメーションの必要性を訴えるものとなっています。
今年はいよいよその2025年の崖っぷちに立っています。
「「人手不足倒産」のワードは、前年から連続して上昇ランキング上位に入りました。
実際、コロナ禍の各種補助が終わったことからの反動や、建設・物流業界の労働時間制限が開始されたこと、その他賃上げやコストアップにより、 倒産全体が増えてきています。
労働市場では、倒産後の企業から労働移動がどう起こるのかも注目されています。
※増加率6位以降は次回に続きます。