ワーク・ライフの傾向と対策 vol.146
毎年10月1日をめどに改定が発表される最低賃金。2023年度の都道府県別の最低賃金額は、各都道府県で39~47円引き上げられ、全国の平均額は前年比43円増の1004円となりました。物価高を背景に初めて1000円を超えたかたちです。
最低賃金が最も高かったのは東京都の1113円、最も低かったのは岩手県の893円で、最高額と最低額の差は220円です。
最低賃金の地域間の差は小さくありませんが、Uターン転職、Iターン転職で生活の基盤を都会から地方へと移すと生活が厳しくなるのかというと、単純に給与の額で判断できるわけではありません。
さまざまなデータをもとに、移住後の家計簿を想像してみましょう。
前述の最低賃金もそうですが、大企業が多い大都市と地方の賃金の差は、残念ながら大きいようです。
厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」の都道府県別の賃金の水準をみると、全国計(311.8 千円)よりも賃金が高かったのは、東京都・神奈川県・愛知県・大阪府・兵庫県の、なんと5都府県のみ。このうち最も高かったのは、東京都(375.5 千円)です。
一方、地方には生活費などの支出を安く抑えられるというメリットがあります。とりわけその差が顕著なのが住居費です。
東京都(世田谷区)の家賃平均は9.15万円ですが、これに対し、フォーラムキャリアの拠点がある新潟県新潟市(中央区)なら5.31 万円、富山県富山市は4.28万円、鳥取県米子市は4.19万円、愛媛県松山市は4.20万円、沖縄県那覇市は5.41万円です。
地方であれば東京と同じ金額を出せば、駐車場付きのファミリータイプのマンションも十分借りられますし、土地も安いので庭付き一戸建てのマイホームも夢ではありません。
また消費者物価指数(平均=100)では、物価水準が最も高いのは東京都(104.7)で10年連続、次いで神奈川県(103.1)となっています。
前述の新潟県は98.4、富山県は98.6、鳥取県は98.2 、愛媛県は98.1 、沖縄県は99.0と、とそれぞれ東京の9割程度の物価で、年間支出になると大きな違いが出ます。
暮らし方や、何にお金をかけるかといった価値観の問題はありますが、移住を伴う転職で収入が下がったとしても、生活費も下がるのであれば「許容範囲」に入るのではないでしょうか。
豊かな自然など、地方暮らしにはお金には換えられない価値もあります。
(参考)
※厚生労働省 令和4年賃金構造基本統計調査
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2022/index.html
※不動産・住宅情報サイトHOME’S家賃相場
http://www.homes.co.jp/chintai/price/
※総務省統計局 令和4年平均消費者物価地域差指数の概況
https://www.stat.go.jp/data/kouri/kouzou/pdf/g_2022.pdf