ワーク・ライフの傾向と対策 vol.141
2023年4月から、従業員数1,000人超の企業に対し、男性の育児休業取得率等の公表が義務化されました。これは2021年の育児・介護休業法の改正を受け、3段階に分けて施行される最後の事項です。
ところで、パーソル総合研究所が2023年6月27日に結果を発表した「男性育休に関する定量調査」では、男性育休の取得率は企業間格差が大きく、取得率50%以上の企業が約2割ある一方で、取得率5%未満の企業が約半数である現状が浮き彫りになっています。また男性育休の取得期間を見ると、1か月未満の取得者の割合が約6割を占めており、取得期間は数日の休暇レベルにとどまっていることが明らかになりました。
この要因としては、
・取得率 5%未満の企業では、男性育休に関する「全社方針の発信」や「対象者への取得勧奨」の実施率が低い。
・組織として「不在時の対応」が整備されていない。
・部下や同僚に育休をとってほしいと考える上司・同僚は、期間が長くなるほど少なくなる。
・育休の取得事例や取得希望者の少なさ、周囲のメンバーの理解不足が課題になっている。
・対象者が、同僚への迷惑や育休中の収入の減少、仕事能力の低下、 中長期的キャリアへの影響を懸念している。
・短時間での成果創出のプレッシャーがかかる職場である。
・定期異動が多いことから中長期の育休がとりにくい。
といったことが挙げられています。
どれも思わず納得してしまいますね。
一方で、男性が育休を取得するメリットはじつに豊富です。
■「子育て」というライフイベントに携わることができる
わが子と向き合い、愛情を注ぎ、その成長を見守る時間は、人生においてかけがえのないものです。
■夫婦関係が良好になる
夫婦が協力し、共感し合って子育てをすることで、その後の夫婦関係が良好になります。
■夫・妻ともにキャリア形成に好影響がある
夫が育児に参加することで妻の負担が減り、妻のキャリアロス期間を短縮できます。また男性社員にとっても、育休を長く取れる組織ほど帰属意識や仕事の意欲が高まります。
■属人化した仕事を見直す機会になる。
「この人にしかできない」という仕事があると、その人は当然ながら休みづらくなります。メンバーの育休取得は、チーム内の体制を再構築するチャンスです。
■企業イメージの向上につながる。
男性の育休取得を推進することで企業イメージが向上し、優秀な人材の採用や離職防止につながります。
男性の育休取得率はホームページに掲載されていることが多いので、転職活動の際にはチェックしておくといいでしょう。ご自身が育休を取得する予定があるなしに関わらず、企業の姿勢を判断するひとつの指針になります。