ワーク・ライフの傾向と対策 vol.139
パーソルキャリアが運営する転職サービスdodaの「転職理由ランキング」の最新版が2023年3月に発表されています。2021年7月~2022年6月の1年間に転職した789人に、35の転職理由の中から該当するものを複数回答で選んでもらったもので、上位10位は次のようになっています(複数回答可)。
順位 | 前回順位 | 転職理由 |
---|---|---|
1 | 1 | 給与が低い・昇給が見込めない |
2 | 2 | 昇進・キャリアアップが望めない |
3 | 4 | 社内の雰囲気が悪い |
4 | 10 | 尊敬できる人がいない |
5 | 7 | 業界・会社の先行きが不安 |
6 | 6 | スキルアップしたい |
7 | 12 | 人間関係が悪い/うまくいかない |
8 | 3 | 会社の評価方法に不満があった |
9 | 5 | 肉体的または、精神的につらい |
10 | 9 | 労働時間に不満(残業が多い/休日出勤がある) |
転職理由の1位「給与が低い・昇給が見込めない」、2位「昇進・キャリアアップが望めない」はそれぞれ前回と同じです。前回3位の「会社の評価方法に不満があった」は、今回8位に順位を下げました。一方、大きく順位を上げたのは、前回10位→今回4位の「尊敬できる人がいない」と、12位→7位の「人間関係が悪い/うまくいかない」です。どちらも「人間関係」に関する理由です。
ここからは年代別で転職理由のTOP3を見ていきましょう。
順位 | 前回順位 | 転職理由 |
---|---|---|
1 | 1 | 給与が低い・昇給が見込めない |
2 | 4 | 昇進・キャリアアップが望めない |
3 | 8 | 業界・会社の先行きが不安 |
20代の転職理由1位は「給与が低い・昇給が見込めない」、2位は「昇進・キャリアアップが望めない」で、どちらも総合ランキングと同じ結果でした。
3位は「業界・会社の先行きが不安」ですが、これは前回の8位から大きく順位を上げています。デジタル化が進む中、若い世代こそ「このまま今の会社で働いていて大丈夫?」と転職に踏み出しているのかもしれません。
順位 | 前回順位 | 転職理由 |
---|---|---|
1 | 1 | 給与が低い・昇給が見込めない |
2 | 3 | スキルアップしたい |
3 | 5 | 尊敬できる人がいない |
30代の転職理由1位は「給与が低い・昇給が見込めない」で総合ランキングと同じでした。ただし、2位は「スキルアップしたい」、3位は「尊敬できる人がいない」で総合と順位が異なります。
30代はプレーヤーとしてもマネージャーとしても重要な業務を任される機会が増えます。自分のスキルアップのため、あるいはロールモデルとなる人物を求めて転職に踏み切るケースが多いのかもしれません。
順位 | 前回順位 | 転職理由 |
---|---|---|
1 | 8 | 昇進・キャリアアップが望めない |
2 | 1 | 給与が低い・昇給が見込めない |
3 | 7 | 社内の雰囲気が悪い |
40代の転職理由トップ3の顔ぶれは、順位こそ1位と2位で逆転しているものの、項目は総合と同じで、「評価・待遇」と「人間関係」が転職理由の上位に位置する傾向は共通しています。
なお1位の「昇進・キャリアアップが望めない」は前回8位から、3位の「社内の雰囲気が悪い」は前回7位から、それぞれ順位を上げています。
順位 | 前回順位 | 転職理由 |
---|---|---|
1 | 12 | 人間関係が悪い/うまくいかない |
2 | 1 | 社内の雰囲気が悪い |
3 | 2 | 給与が低い・昇給が見込めない |
50代の転職理由1位は「人間関係が悪い/うまくいかない」で、前回12位から大幅に順位がアップしています。2位に「社内の雰囲気が悪い」が続き、人間関係に関する理由が並びます。人間関係での苦労は50代でも共通するようです。
いかがでしたでしょうか。
今回の転職理由ランキングでは全体として、人間関係に関する理由が順位を上げるという変化が見られました。コロナによる混乱が落ち着き、他者との関わり方や距離感がもとに戻る中で、職場の人間関係の課題や重要性に気づく機会が増えた結果なのかもしれませんね。