転職百科

ワーク・ライフの傾向と対策 vol.12

幸せな年収

少し前の話になりますが、2015年のノーベル経済学賞が米プリンストン大学のアンガス・ディートン氏に授与されました。授賞理由は「消費、貧困と厚生に関する分析」です。

ディートン氏は、収入と幸福感の関係を解き明かす研究で知られており、2010年に米国の心理学者であり行動経済学者でもあるダニエル・カーネマン氏(2002年にノーベル経済学賞を受賞)との共同執筆で発表した論文で、年収に比例して人々の幸福感は上がるものの、年収が7万5,000ドル(約900万円)を超えると幸福の感じ方が鈍くなると指摘しています。この研究をもとに、自身の年収を100万ドルから7万ドルに引き下げた上、数年かけて従業員全員の年俸を7万ドル以上に引き上げると発表したアメリカ企業のCEOもいます。

人間の幸福感は、お金だけでなく、健康、余暇、人間関係、将来に夢が持てるかどうかなど、さまざまな要素が絡み合って決まります。もっとお金が欲しいと望むあまり、健康を損なうほど働いたり、あるいは家族を顧みなくなったりということがあれば、幸福度はおのずと低下していきます。

ディートン氏らの研究では幸福度のピークは年収7万5000ドルということでしたが、この額は国や住んでいる地域によって異なります。ちなみに日本の都道府県別の賃金の水準の全国計は299.6千円です。さて、あなたが幸せを感じる収入は、いくらですか?
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