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ワーク・ライフの傾向と対策 vol.115

人手不足に対する企業の動向

人手不足に対する企業の動向

前回「コロナ禍にあって転職するのは延期したほうがいいか」というご相談を受け、有効求人倍率は上昇しているものの、雇用情勢は業種によってバラつきがある、という点をご説明しました。
今回は、これに関連し関連する調査結果がありますので、紹介したいと思います。

帝国データバンクは8月24日、「人手不足に対する企業の動向調査(2021年)」の結果を発表しました。7月15日から31日にかけて、全国2万4,285社を対象に行われた調査で、有効回答企業1万992社について結果を集計したものです。

【正社員が不足している企業は「40.7%」】

現在の従業員の過不足状況をたずねた設問に対しては、正社員について「不足」していると回答した企業は 40.7%となっています。また「適正」と回答した企業は 45.7%、「過剰」と回答した企業は 13.6%となっています。
新型コロナウイルス拡大による一度目の緊急事態宣言下の2020年5月(29.1%)を底に、正社員の人手不足割合は上昇傾向がみられます。


【正社員が不足している業種は「建設」】

業種別にみると、少子高齢化などの影響で職人不足が進む「建設」で6割弱(57.5%)が人手不足を感じており、51 業種で最も高い割合となっています。
このほか「自動車・同部品小売」(57.1%)、「輸送用機械・器具製造」(47.3%)など自動車関連の業種が上位にあがりました。特に「輸送用機械・器具製造」は前年比で 35%超、2019 年比でも 10%を超える大幅な上昇です。
IT 人材の不足が目立つ「情報サービス」(54.7%)も高水準での推移が続いています。


【正社員が過剰だとする企業は観光関連】

●一方、正社員の人手が「過剰」だとする割合を業種別にみると、「旅館・ホテル」(42.5%)がトップとなっています。前年7月(57.6%)よりは低下していますが依然として高水準で、感染症拡大の影響が色濃く見られます。
以下、外来診療控えが調剤薬局に影響を及ぼしているとみられる「医薬品・日用雑貨品小売」、外出機会の減少で需要が減少している「繊維・繊維製品・服飾品卸売」、イベント中止や印刷需要の減退などが響いている「出版・印刷」と続きます。


いかがでしたでしょうか。
まとめますと、企業の人手不足感は、新型コロナウイルスの感染が拡大する以前の水準までは戻っていないものの、建設業や自動車関連などで顕著に上昇しています。一方で、経済活動に大幅な制限を受けている「旅館・ホテル」などの 業種では、人手の過剰感が依然として高水準にあります。
企業の景況感は「K 字回復」の様相が強まっていますが、雇用情勢も業種によって温度差がみられます。安定・成長が望める業種、企業への転職を成功させるには、リアルタイムの情報収集がカギになりそうですね。

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