ワーク・ライフの傾向と対策 vol.110
国が「働き方改革」を進めてきたことに加え、感染症予防の観点から働き方は大きく変化しています。
環境の変化によりやむなく働き方を変える、という方がいる一方で、コロナ禍を機に自分はどう働きたいのか、何のために働くのか、といったことを深く考えるようになり、自発的に働き方をアップデートした、という方も少なからずいらっしゃいます。
雇用形態や、働き方に対する個人の価値観は、さまざまに変容しています。新しいキーワードをご紹介しましょう。
《雇用形態・働く環境》
■ジョブ型雇用
以前にもご紹介しましたが、「ジョブ型雇用」とは、仕事に人を割り当てる雇用のかたちです。
欧米で主流となっており
・欠員が生じた場合に採用を行う
・その職務に対する能力が採用基準になるため、企業側に教育を行う義務はない
・能力に応じた職務給が支払われる
・業務がなくなったなど会社側の都合で解雇されることがある
といった特徴があります。
対して日本の企業では、人に仕事を割り当てる「メンバーシップ型雇用」が伝統的に行われてきましたが、その前提となる年功序列・終身雇用・新卒一括採用の仕組みが揺らぎつつあり、今後はジョブ型雇用へのシフトが進むと見られています。
■限定正社員
従来の正社員は、フルタイム・転勤あり・異動ありを前提としていましたが、ワークライフバランスの重視など多様な働き方が求められる時代にあってクローズアップされているのが「限定正社員」です。
正社員同様、雇用期間に定めはありませんが、「勤務地」「職務」「労働時間」のいずれかが限定されます。
「勤務地限定正社員」であれば、全国転勤のない営業職や、限定された店舗で働く販売スタッフといった働き方が考えられます。
「職務限定正社員」は、担当する職務内容や仕事の範囲が他の業務と明確に区別される、ITエンジニアなどが挙げられます。
「勤務時間限定正社員」は、1日6時間程度の短時間勤務の事務職などが想定できます。
正社員と比べると給与など待遇面は劣りますが、福利厚生が受けられ、非正規社員より立場が安定するというメリットがあります。
■健康経営
経済産業省が推進する「健康経営」は、アメリカの臨床心理学者であるロバート・ローゼン博士が提唱する「ヘルシーカンパニー」に基づき、これまで別のものとして捉えられていた経営管理と健康管理を統合し、個人の健康増進を企業の業績向上に繋げるという考え方です。
難しく聞こえるかもしれませんが、要は従業員の健康づくりを通じて会社を成長させよう、ということです。
具体例として、オフィスにリラクゼーションスペースを設置したり、健康に良いメニューを提供する社員食堂の開設したり、といった取り組みがあります。
健康経営に取り組む企業を国が「健康経営優良法人」として認定する制度があるので、チェックしてみましょう。
★次回に続きます。
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