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ワーク・ライフの傾向と対策 vol.107

「ポータブルスキル」を考える

前回のコラムでは「キャリアの棚卸し」をテーマにしました。
今回は、キャリアの棚卸しをする際には、ご自身のこうしたスキルに目を向けて欲しい、ということで、「ポータブルスキル」というものをご紹介します。

厚生労働省では、40~50歳のミドル層のキャリアチェンジに役立つとして、ポータブルスキルを提唱しています。
ポータブルスキルとは、その名のとおり「持ち運べるスキル」のこと。すなわち、業種や職種が変わっても通用する能力です。

ポータブルスキルは「専門知識・専門技術」に加えて、「仕事のやり方」「人との関わり方」という3つの要素で構成されています。
ここでは「仕事のやり方」「人との関わり方」について詳しく見てみましょう。


【仕事のやり方】

成果を上げるために「課題を明らかにする」「計画を立てる」「実行する」の3つの行動が重要とされています。

◎「課題を明らかにする」際は、情報収集や情報分析を通して現状を把握し、課題を設定することが大切です。
◎「計画を立てる」段階では、期間、関係者、調整事項などを明確にする力が求められます。
◎「実行する」ときは、スケジュール管理をしつつ実際の課題を遂行し、状況にあわせて柔軟に対応をすることが重要になります。


【人との関わり方】

「社内対応(上司・経営層)」「社外対応(顧客、パートナー)」「部下マネジメント(評価や指導)」の3方向の対人マネジメントが重要とされています。

◎「社内対応」とは、上司や関係部署とコミュニケーションをとりながら、物事を遂行したり、提案を行ったりと、社内で一定の役割を担うことです。
◎「社外対応」については、顧客や取引先と納得感の高いコミュニケーションや合意形成を行うことが重要になります。
◎「部下マネジメント」においては、メンバーのモチベーションアップを図りつつ、それぞれの持ち味を活かした業務を割り当てることが求められます。



ご自身の仕事のやり方、人との関り方と照らし合わせてみて、いかがでしょうか。

ポータブルスキルに似た考え方として「トランスファラブルスキル」というものがあります。これは「対課題スキル」「対自己スキル」「対人スキル」を、移転可能な(=トランスファラブル)スキルとしてまとめたものです。

ポータブルスキルもトランスファラブルスキルも、言葉や概念に微妙な違いはあるものの、組織・チームで仕事を行っていく上で重要で、業界・職種に限定されずに活かせるスキルという根本的な部分は共通しています。

本来ポータブルスキルは、ゼネラリスト型ミドルの能力評価を確立し、転職支援を強化するための考え方なので、ぜひ転職の自己PRで活用したいところです。
ただし転職をするために意識してポータブルスキルを磨く、というよりは、日常業務の中で身についたポータブルスキルを、転職活動の入口で「きちんと棚卸しする」ということが重要になると思います。

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