キャリアコンサルタントに聞く vol.96
Q:職場に仲が良い人がいません。転職するのはアリでしょうか。
プライベートでは打ち込める趣味もあり、それなりに人間関係にも恵まれていると思っていますが、職場に限っていえば同年代が少ないこともあり、本音で話せるような間柄の人はいません。別の会社に勤める友人から「職場の同僚と飲みに行く」というような話しを聞くと、少し羨ましく感じます。このままこの会社にいては自分の世界が広がらないのではないか、転職したほうがいいのでは…と迷っています。
A:きっかけとしてはアリですが、説得力のある転職理由を考えましょう。
ご質問ありがとうございます。
職場の人間関係について興味深い調査があるのでご紹介しましょう。
2024年3月にパーソル総合研究所が結果を公表した「職場での対話に関する定量調査」では、
「過半数の従業員は職場で本音をほとんど話していない」
という職場内コミュニケーションの実態が明らかになっています。
具体的には、上司との面談で41.6%、チーム内の会議で43.0%が「全く本音で話していない」と回答しています。
また職場内に本音で話せる相手が「1人もいない」という人は50.8%と高い値となっています。
本音で話せるような親しい同僚がいないというのは、ご質問者さんだけに限らないようです。
職場で積極的に人づきあいをするか、あるいは職場は仕事をする場所だと割り切るかは、その人の働き方や人生の価値観によると思います。
職場に親しい人がいれば、仕事をする上で協力したり、困ったことがあれば相談したりといったメリットが生まれます。
一方で会社以外でのつきあいが発生してオン・オフの切り替えが難しくなることもあるかもしれませんし、ややこしい人間関係のトラブルに巻き込まれる可能性もあります。
逆に職場に親しい人がいない場合は、自分のペースで、あるいは中立の立場で仕事に取り組めることがメリットとして挙げられます。
ただ、意識していなければコミュニケーション不足から社内の情報が得られなかったり、視野や思考の幅が狭まることもあるかもしれません。
こうしたことも踏まえつつ、社内に仲が良い人がおらず、つくれそうもないので、転職するのはアリか…といえば、きっかけとしてはアリだと思います。
ただあくまで「きっかけ」で、そのままでは客観的に説得力のある転職理由にはなりません。
たとえば、
「同世代が多い職場で切磋琢磨して成長したい」
「周囲とコミュニケーションを取りながら、チームワークで成果を上げたい」
など、働き方やキャリアに対する前向きな思いに変換してから転職活動に臨むことをおすすめします。
また職場の環境はいったん置いておき、どんな仕事をしたいのかについても、慎重に自分の思いを整理してみるといいと思います。