キャリアコンサルタントに聞く vol.93
Q:今年45歳。転職は可能ですか?
今年45歳になります。新卒で入社した現在の会社で長く働いていますが、このまま定年まで勤め上げるより、新しい場所でチャレンジしたいという気持ちがあります。「35歳が転職の限界」とも聞きますが、40代での転職は厳しいでしょうか?
A:転職は大いに可能ですが、落とし穴に注意を。
ご質問ありがとうございます。
質問者さんも不安に思っていらっしゃるように、ひと昔前は確かに「35歳が転職の限界」と言われていました。しかし現在は転職者の平均年齢は上昇傾向にあり、40歳を過ぎて転職を成功させた方も大勢います。
実はここ10年、44歳以下の転職者数は増減率はほぼ横ばいですが、45歳以上の転職者数は大きく増加しています。近年、転職する人が増えているという感覚は、実はほとんどが中高年の転職増加によってもたらされているわけです。
労働人口が減る中で30代後半〜40代の人材を採用していかなければ企業も人が確保できなくなってきているという状況もあり、35歳限界説は過去の常識になりつつあります。
ただし、同じスキルを持つ20代と40代の人材なら、企業は間違いなく給与が安い20代を採用するでしょう。
40代の転職成功のカギを握るのはスキルと経験値です。
特に重要なのは現場力を踏まえた上でのマネジメント能力です。質問者さんも「経験を積んだ今だからこそできることがある」とポジティブに転職活動に臨んでいただければと思います。
ただし注意していただきたいのは、中高年層の転職後にありがちな落とし穴があるということです。
たとえば、せっかく期待されて入社したのに、実際のところ何をやればいいのかわからず、成果が出せないということがあります。
若年層の中途採用は主に欠員補充を目的としています。これに対し、40代以上の転職には、組織にとって戦略的なポジションを任されるケースが多くなり、より幅広い業務や新しい業務を担うことが期待されます。ミッション自体がこれまでにないものであるため、会社が具体的に仕事内容を示すことは難しく、当然本人にとっても「何をやればいいのかわからない」ということになりがちです。
またご本人が「これまでのやり方を捨てられない」ということがあります。
転職後は、前職の仕事のやり方はほぼ通用しません。新しいやり方を学び、自分の行動を変えていくプロセスは、キャリアが長い中高年には痛みを伴うものです。つい「前の会社では…」と前職でのやり方を引き合いに出してしまうことがあるかもしれませんが、それでは新たな環境になじむことはできません。
これらは転職者本人だけでなく、企業側の課題でもありますが、「こういった落とし穴があるかもしれない」と事前に理解して転職活動に取り組むと、新天地でのスムーズな就業が望めると思います。