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キャリアコンサルタントに聞く vol.87

転職と退職金の関係性について教えて!

Q:転職と退職金の関係性について教えて!

新卒入社から10年ほど営業の仕事をしています。もう少し大きな仕事を任せてもらえそうな会社に転職を考えているのですが、現在の会社には退職金制度があります。転職した場合、退職金はどうなるのでしょうか。また昨今、退職金への課税の軽減措置が見直されるというニュースも耳にしました。転職先を選ぶ条件として退職金の有無はどれほど重要でしょうか。アドバイスいただけると幸いです。

A:退職金優遇制度の見直しが議論され、前向きな転職に追い風が吹いています。

ご質問ありがとうございます。
人生100年時代といわれ、老後資金についてさまざまな議論が交わされています。さらに2023年4月の時点で、政府は労働力の成長分野への移動を促し、年功序列や終身雇用を前提とした日本型雇用慣行の改革に取り組むという労働市場改革の方針を打ち出しています。おっしゃるように、退職金への課税の軽減措置の見直しも検討されています。

ここで退職金についておさらいをしておきましょう。

退職金制度は法律で定められた制度ではなく、会社ごとに規則を定めるものです。
キャリアコンサルタントとしての経験から言えば、退職金がないという会社はそう珍しくありません。ただし、退職金が出ない代わりに、給料やインセンティブを高く設定している企業もあります。この場合、「退職金は普段の給料に含まれている」と考えることもできます。

この退職金については、終身雇用を前提として、長く働いた人ほど税金が優遇されていました。
具体的には、勤続20年を超えると、所得計算時の控除額が1年あたり40万円から70万円に増え、税負担が軽くなります。
今、こうした退職金優遇制度の見直しが議論されているわけです。

「また増税なの?」と思うかもしれませんが、ひとつの会社に長く勤務する時代は終わり、転職することが珍しくない時代です。現状、「実力を発揮できる環境に転職したいけれど、退職金を受け取るために会社を辞めない」という選択をする人は少なくありません。しかし退職金課税が強化されると、その企業に長くいる理由はなくなるので、優秀な社員の雇用の流動化につながります。
質問者さんにもぜひこの状況を追い風と捉え、前向きに転職に挑んでいただきたいと思います。

退職金を含めた労働市場改革の政府方針は、2023年6月までに示されると報じられていますので、注視していきましょう。
いずれにしろ、退職金が老後の保障をしてくれる時代は終わりつつあります。老後の資金対策として保険や私的年金を利用することも検討しながら、自分でしっかりと備えることが重要です。
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