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キャリアコンサルタントに聞く vol.87

転職と退職金の関係性について教えて!

2023.12.25

Q:転職と退職金の関係性について教えて!

新卒入社から10年ほど営業の仕事をしています。もう少し大きな仕事を任せてもらえそうな会社に転職を考えているのですが、現在の会社には退職金制度があります。転職した場合、退職金はどうなるのでしょうか。また昨今、退職金への課税の軽減措置が見直されるというニュースも耳にしました。転職先を選ぶ条件として退職金の有無はどれほど重要でしょうか。アドバイスいただけると幸いです。

A:退職金課税の見直しは、いったん見送りとなりました。ただし労働移動を後押しする流れ自体は変わりません。

ご質問ありがとうございます。
人生100年時代といわれ、老後資金についてさまざまな議論が交わされています。2023年4月の時点で、政府は労働力の成長分野への移動を促し、年功序列や終身雇用を前提とした日本型雇用慣行の改革に取り組むという労働市場改革の方針を打ち出し、6月にまとめた「骨太の方針2023」には、退職金への課税制度を見直す方針も盛り込まれていました。

ここで退職金についておさらいをしておきましょう。

退職金制度は法律で定められた制度ではなく、会社ごとに規則を定めるものです。キャリアコンサルタントとしての経験から言えば、退職金がないという会社はそう珍しくありません。ただし、退職金が出ない代わりに、給料やインセンティブを高く設定している企業もあります。この場合、「退職金は普段の給料に含まれている」と考えることもできます。

この退職金については、終身雇用を前提として、長く働いた人ほど税金が優遇されていました。
具体的には、勤続20年を超えると、所得計算時の控除額が1年あたり40万円から70万円に増え、税負担が軽くなります。「骨太の方針2023」では、この勤続20年超の優遇を見直す方向性が示され、「転職すると不利になる」という課題の解消が期待されていました。
ところが、2023年12月22日に閣議決定された令和6年度税制改正大綱では、結局この退職所得控除の見直しは盛り込まれず、見送りとなりました。「また増税なの?」という声への配慮もあったとみられます。 とはいえ、これで話が終わったわけではありません。ひとつの会社に長く勤務する時代は終わり、転職することが珍しくない時代であることに変わりはなく、政府の労働市場改革の方向性そのものが変わったわけではないからです。現状、「実力を発揮できる環境に転職したいけれど、退職金を受け取るために会社を辞めない」という選択をする人は少なくありませんが、今後もこの控除の見直しが再び議論の俎上に載る可能性は十分あります。
質問者さんには、目先の制度の有無に縛られすぎず、ご自身のキャリアにとって最善の選択かどうかで転職を判断していただきたいと思います。

いずれにしろ、退職金が老後の保障をしてくれる時代は終わりつつあります。老後の資金対策として保険や私的年金を利用することも検討しながら、自分でしっかりと備えることが重要です。


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