キャリアコンサルタントに聞く vol.81
Q:「出世したくないから転職」はあり?
今の会社で、現場を離れてマネジメント的なポジションにつくことを打診されています。周囲からはいいね出世だね、昇進だねと言われますが、自分は役職について部下を管理するより、現場でずっとバリバリ働いていたいタイプです。得意でも好きでもない管理業務に携わらなければいけないのであれば、思い切って転職してもいいのかなとも思っています。
A:出世を避ける気持ちの背景にある「ポジティブな思い」を転職の軸にしましょう。
ご質問ありがとうございます。
仕事に取り組むスタンスや、人生における仕事の位置づけは人それぞれです。
出世してステイタスと収入を上げることは、かつては働く人たち共通の大きな目標でしたが、今は価値観が多様化しています。
若い世代を中心に
・責任が重くなる
・仕事量や残業が増える
・仕事と給料が釣り合わない
・家庭、プライベートを大切にしたい
など、業務の負担や精神的な負担が大きくなることを理由に、出世したくないと考えている人も増えています。
実際のところ、出世というかたちでなくても、仕事のやりがいやモチベーションを持つことはできますし、仕事よりもプライベートを充実させたいという考え方もあります。そうした方にとっては、昇進の打診があった際にどう断ればいいのかは、なかなか悩ましい問題です。
さて、質問者さんも、管理職への昇進を避けるためには転職をしてもいいかも、とお考えとのことです。
その際、気をつけていただきたいのは、ストレートに「出世したくないから」を転職の理由にすべきではないということです。
出世をする・しないにかかわらず、主体的に仕事に取り組むことで、スキルや知識が身につき、人間としても成長します。自身の成長を諦めるような、後ろ向きな意味で出世を避けていては、その人のためにも、企業のためにもなりません。
幸い質問者さんは、「いつまでも現場で活躍するプレイヤーでいたい」と、ポジティブな捉え方をされています。これを転職の軸にすれば、人事担当者の共感を得やすいのではないでしょうか。
あるいは、仕事に対する前向きな姿勢を示しつつ、自分が昇進したくない気持ちを誠実に伝えることができれば、今の会社に留まるという選択肢も見えてくるかもしれません。
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