キャリアコンサルタントに聞く vol.79
Q:転職者は転職に満足している?不満を感じている?
メーカーの営業を務めて6年目、漠然とですが初めての転職を考えているところです。
転職にまつわる記事をネットで検索すると、「転職して良かった」という成功事例がある一方で、「こんなはずじゃなかった」「思っていたのと違う」とネガティブな事例もあるようで、不安を感じることもあります。一般論として、転職に満足している人、不満足な人、どちらが多いのでしょうか。
A:転職満足度は、転職理由に左右されることがあります。
質問ありがとうございます。
変化の激しい時代にあって、転職を前向きに捉え、積極的に選択している方が増えていますが、やはり初めての転職に臨むにあたっては不安に感じることも多いと思います。
【新しい勤め先に満足な転職者は、不満足な転職者を大幅に上回っている】
転職にかかわる満足度については、厚生労働省の「転職者実態調査」が参考になります。
令和2年の転職者実態調査によると、令和元年10月1日~2年9月30日に新たな職場に移った人のうち、転職後の勤務先を「満足」「やや満足」とした割合の合計は計53.4%、「不満」「やや不満」の合計は計11.4%。その差で表す「転職満足度指数」は42.0ポイントとなっており、現在の勤め先に満足な転職者は不満足な転職者を大幅に上回っています。
これは43.0ポイントだった平成27年の調査からほぼ横ばいの高水準で、働き方改革で労働条件が改善したことが奏功していると見られています。
また転職者に今後の転職希望をたずねる設問では、「今の職場で働きたい」が52.7%、「わからない」が24.9%、「機会があれが転職したい」が21.0%となっており、転職先に定着して働きたいという希望を持つ人が過半数となっています。
というわけで、総論としては転職に満足している人の方が多い、といえます。
【転職理由によって転職後の満足度に差が生まれることも】
ところで、私自身のキャリアコンサルタントとしての経験からいえば、転職理由によって転職満足度に差が生まれるという実感があります。
満足度が高くなるのは、「自分のスキル・経験を活かしたい」という理由で転職するケースです。自身の強みややりたいことが明確になっていると、ミスマッチが起きにくく、職場にすっとなじんでいけます。
逆に次の職場でも不満を抱く可能性があるのは、「職場の人間関係がよくない」という理由で転職するケースです。明らかなハラスメントは除き、他責の転職理由だけでは、新しい環境でもまた同じ問題が起こる可能性があります。
質問者さんが転職を検討しているとのことですが、まずは転職の目的や、仕事に対する価値観を明確にすることからスタートし、前向きな気持ちで転職活動に取り組むと、結果として満足度は高まると思います。
ご相談をお待ちしています。
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