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キャリアコンサルタントに聞く　vol.72

「そこそこスキル」の掛け合わせで1,000人に1人の人材に

キャリアコンサルタントの仕事をしていると、よく求職者さんから

「自分にはこれといって専門性がない」
「人に自慢できるスキルはない」
「何をやってもそこそこ止まりで…」

といった言葉を聞きます。
謙遜半分なのかもしれませんが、今回はその「そこそこ」が、大きな強みになる可能性がある、というお話をしたいと思います。


「ネイティブレベルで英語が堪能」というスキルを持つAさんという人がいます。Aさんは正確な通訳や翻訳が必要な場面で引く手あまたです。

これに対し、「英語はまあまあ」のレベルで、「仕事で機械設計をかじっている」というBさんがいます。さらにＢさんは「人と話すのが好き」でもあります。Ｂさんは海外との取引がある機械メーカーの社員としてなくてはならない存在です。

具体的な事例から入りましたが、特定分野でずば抜けたスキルを持つＡさんと、３つの「そこそこスキル」を持つＢさんは、全く別の分野で活躍しているわけです。

キャリアアップするため、あるいは転職を成功させるため、ハイスキルをめざして頑張っていらっしゃる方、その向上心はすばらしいと思います。
しかし、特定の分野を極めてAさんのようなスペシャリストになるのは、モチベーションの維持を含めてなかなか厳しいものです。常に「上には上がいる」状況でもあります。

これから1,000人に1人しか到達できない単一スキルを身に付けるより、Bさんのように10人に1人はできる程度の「そこそこスキル」を３つ身に付けるというアプローチはどうでしょうか。
もっと肩の力を抜いて取り組めるでしょうし、なおかつ10×10×10の掛け算で、同じように1,000人に1人の存在になれます。しかもスキルの組み合わせによっては、他にいない、ユニークな人材として重宝されます。

変化の早い今の時代、一つのスキルだけを頼りに仕事をすることにはリスクがある、ということも言えます。時代の変化についていけなくなるかもしれませんし、ひょっとしたらAIに一気に置き換えられてしまうかもしれません。そんなときも複数の「そこそこスキル」があれば、助けになってくれる可能性があります。

まずは、これまでに仕事を通じて築いてきた「そこそこの実務スキル」と、自分が本来持っている得意なこと、好きなことといった「そこそこのヒューマンスキル」の棚卸しをしてみましょう。
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