キャリアコンサルタントに聞く vol.66
Q:転職前の長期休暇は不利になる?
東京本社の会社で営業をしています。30歳を目安に地元の新潟にUターンしようと思っているのですが、今の会社に入ってから仕事漬けの日々を送ってきたこともあり、転職する前に長めの休暇を取ってリフレッシュできたら…と妄想を広げています(笑)。ただ離職期間はつくらないのが転職の基本だと聞いています。ぜひアドバイスをお願いします。
A:キャリアブランクではなく、充実した「キャリアブレイク」にしましょう。
ご質問ありがとうございます。
充実した毎日を送りながらも、転職前のタイミングにリフレッシュしたいというお気持ち、よく分かります。
さて、質問者さんがおっしゃるように、転職の基本はできるかぎり離職期間をつくらないということです。○○ヵ月以上はNGというような線引きはありませんが、平均的な転職活動期間は2〜3カ月で、それ以上に長引くと不都合が生まれることが多いです。
そこには二つの理由があります。
ひとつは、収入を確保するという点です。
一家の家計を担っている人であれば、当然、無収入の期間は最小限に留めなければなりません。
共働きだとしても、パートナーの理解を得る必要があります。
雇用保険(失業給付)もありますが、自己都合で退社する場合は、手続きから給付まで3カ月の待機期間があります。
もうひとつは、転職先企業の評価の面です。
企業は現役感がない人を避ける傾向があります。退職から一定の期間が空くと「勤労意欲が足りないのでは」「ビジネスの勘が鈍っているのでは」と見られてしまうこともあります。
しかし今、こうした離職期間をポジティブに捉えようという新しい考え方が生まれています。
従来、長い離職期間は、「キャリアブランク」(空白期間)としてネガティブに捉えられてきましたが、これを「キャリアブレイク」(キャリア向上に必要な休暇)として捉え直そうというものです。
背景には、人生100年時代にあって、企業に所属している期間だけでその人のキャリアを評価することはできない、という視点があります。
キャリアブレイクの考え方は欧米を中心に浸透しており、育児、介護、ボランティア、留学など、多様な価値観やスキルを身につけるための取り組みが奨励、評価されるようになっています。
こうしたことを踏まえて私からアドバイスするならば、転職前に長期の休暇を取るのであれば、ぜひ、自己成長につながる経験をしてほしい、ということです。
資格取得や新たなスキル習得に励むのは直接的で分かりやすいですが、20代という質問者さんの年齢を考えると、それに限らず、もっと柔軟に考えてもいいように思います。
ただし、企業の懸念材料をカバーすることは常に意識しておきましょう。たとえば「長期休暇中に、こんなプロボノ活動をした」というような実績があると、自己アピールに厚みが出ると思います。
キャリアブレイク後の転職には、前職での経験に合わせて、ブレイク期間中に何を得たか、どんな成長をしたかを企業側にきちんと伝えることが重要です。
ぜひ我々プロの力を頼っていただければと思います。
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