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キャリアコンサルタントに聞く vol.57

「退職金なし」って普通?

Q:「退職金なし」って普通?

中小企業で営業の仕事をしています。30歳です。転職を決意したわけではありませんが、もやもやとしているところです。というのは、現在勤めている会社は退職金制度がありません。新卒で入社する際は正直あまり気にしていませんでしたが、結婚して子どもが生まれマンションを購入すると、将来のことが気になってきました。
退職金制度がある会社が魅力的に見えてしまうのですが、どんなものでしょうか…。


A:「退職金なし」は珍しくありません。が、退職金の有無がすべてではありません。

ご質問ありがとうございます。
人生100年時代といわれ、老後資金についてさまざまな議論が交わされているところなので、心配になるお気持ちはよく分かります。

さて問題の「退職金」についてですが、一般的にあってあたりまえというイメージがあるのではないでしょうか。
しかし実際には、退職金制度は法律で定められた制度ではなく、会社ごとに規則を定めるものです。
就業規則に記載がなければ、会社は退職金を支払わなくても違法にはなりませんし、退職金の額は、勤続年数や企業規模、業種、学歴によって大きく異なります。

全体的な傾向としては、大企業ほど退職金制度が整備されています。
厚生労働省の2018年の調査によると、従業員数1,000人以上の企業は92.3%が退職金制度を導入しているのに対し、従業員数33~99人の企業は77.6%にとどまっています。退職金制度は企業にとっては大きなコスト負担となるため、小規模な企業では制度を設けられないという事情があります。

キャリアコンサルタントとしての経験から言えば、退職金がないという会社はそう珍しくありません。

ご質問者さんのように、現在お勤めの会社に退職金制度がないという場合、老後の資金対策としてできることは、保険や私的年金を利用する、ということになります。もちろん、毎月の給料やボーナスから計画的にお金を貯めていくことは、基本中の基本ですね。

ただし、退職金が出ない代わりに、給料やインセンティブを高く設定している企業もあります。この場合、「退職金は普段の給料に含まれている」と考えることもできます。

いずれにしろ、退職金が老後の保障をしてくれる時代は終わりつつあるという意識を持って、自分でしっかりと備えることが重要です。今後どんなライフイベントがあるのか、お金はどれくらい必要なのかを考える、いわゆるライフプランを立ててみることをおすすめします。

それでも退職金が欲しい…と考えるのであれば、資金力のある企業に転職するという手段もあります。
ただ前述したように、退職金制度の有無がすべてではありません。さらにいえば、転職は収入面だけで決められるものではありません。極論ですが、退職金を得る代わりに、やりがいを失うようなこともあるわけです。
実際に行動に移す際は慎重に考えたいところですね。
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