キャリアコンサルタントに聞く vol.36
Q:今の会社の人事評価に不満があります。
印刷会社の営業マンとして丸5年働いていますが、給与が低いのが不満です。金額そのものというより、私としては人事評価が適正でない点に納得いかないものを感じています。こうした理由で転職するのは早計でしょうか。
A:転換期にある日本の人事制度。「社員のために変えていこう」という社風を見極めて。
少し前の調査になりますが、人事に関する研究調査を行う「あしたのチーム総研」の調査(※)によると、1560人の退職・転職経験者のうち、約半数が「給与、昇給昇格制度」に不満を感じており、そのうちの59%の人が「自分の実績や頑張りが給与に反映されていない」「昇給・昇格の基準がわからない」と回答しています(※1)。
また同社の別の調査では、自社の人事評価制度に「満足していない」「あまり満足していない」従業員は71.6%と、7割以上の従業員が不満を持っていることが明らかになっています(※2)。
質問者さんのように、人事評価に不満を持つ人は少なくないようです。
一方で社員が納得できる人事評価制度があれば、働く上でのモチベーションアップにつながります。給与が上がれば、自分の頑張りが認められたという充実感に直結しますし、成果が上がらず給与が下がったとしても、自分に足りない点が分かっているので、今後への発奮材料になるはずです。
日本の人事制度は今、大きな転換期を迎えています。
日本では、戦後からバブル崩壊頃まで「年功序列+職能給」という制度が一般的でした。このスタイルでは、同じ年齢・同じ勤務年数の社員は基本的に基本給は一律。課長や部長など役職がつくと職務給が加算されます。年齢が上がれば、それにともなって給料も上がっていく仕組みです。
ところがこの制度は、いったん就職したら定年まで勤め上げることを前提にしたもので、なおかつ日本経済が右肩上がりだったからこそ機能する仕組みでした。
バブルが崩壊し、経済がグローバル化し、働く人々の価値観が多様化した現在は、多くの企業が成果主義に基づく人事評価制度を導入しています。成果を生み出す行動特性に着目して評価を行う「コンピテンシー制度」や、目標に対する達成度合いで評価を決める「MBO制度」など、自社の事業特性や社員の働き方にマッチした新しい制度を導入する企業も少なくありません。
現在、日本の人事制度は過渡期にあります。
どんな人事制度が良いのかは、業種や社風によって異なりますから一概には言えませんが、少なくとも「社員のためによりよい制度を考えよう、改善していこう」という社風がある会社を選ぶことは大切です。
その他の希望・条件とともに、質問者さんにベストの転職先を探っていきましょう。
(※1)転職・退職経験者の求める人事評価に関するインターネット調査(2014年6月26日〜2014年7月11日)
(※2)人事評価に関するインターネット調査(2014年10月~11月)
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