キャリアコンサルタントに聞く vol.31
Q:異業種への転職を妻に反対されています。
石川県在住の40歳、IT関連の仕事に就いて7年になります。これまで家族のためにと思い頑張ってきましたが、常に「仕事が合わない」という思いがあり、今回、最後のチャンスと思って異業種への転職を考えています。ところが妻はまったく理解してくれません。どのように転職活動を進めればいいのでしょうか。
A:「嫁ブロック」の功罪について考え、転職活動のひとつのステップとしましょう。
以前、こちらのブログでも取り上げたのですが、転職マーケットの拡大にともなって「嫁ブロック」という言葉が使われるようになっています。
嫁ブロックとは、妻が夫の転職を阻止することをいいます。以前紹介したケースは、年収がアップする好条件の転職内定を獲得したご主人に対し、「子どもが生まれたばかりなのに通勤時間が10分長くなるのは困る」と奥様が猛反対し、最終的に内定辞退に至ったというものでした。最近では、姑ブロックとの強固な2枚ブロックで転職を阻止したというケースもあります。
男性だから、女性だからというわけではありませんが、男性は仕事に「ロマン」や「やりがい」を求めることが多いのに対し、女性、特にお子さんがいらっしゃる奥様は「生活目線」「現実路線」でものごとを捉える傾向が強いようです。
と書くと、嫁ブロックは悪者のように感じてしまうかもしれませんが、あながちそうとは言い切れません。
嫁ブロックの功罪を知り、これを転職活動のひとつのステップとして考えてみましょう。
まず転職者にとっての嫁ブロックのメリットは、一度立ち止まって「冷静になれる」ということです。ブロックされた時点で冷静になり、転職を踏みとどまることもできれば、もう一度力を込めて転職にアタックすることもできます。
また、おそらく奥様は「なぜ転職するのか」「なぜその会社なのか」「今の仕事ではだめなのか」と問いかけてくるでしょう。この質問に答えることが、自分の転職意志を再確認することにもなるはずです。ご質問者さんは異業種への転職を希望されているということなので、そこは奥様の言葉を鏡として、客観的に自己分析をしていただければ間違いないと思います。
逆に転職者にとっての嫁ブロックのデメリットは、何といっても機会の損失です。
最初は「どうしても転職して、この仕事をしたい」と意気込んでいた人が、嫁ブロックを前に「穏便に済ませたい、トラブルを避けたい」という後向きの理由で転職を諦めるのは、なんとももったいない話しです。奥様が反対する理由に納得したのであれば仕方ありませんが、ご自身が本当にやりたいことがあるなら、嫁ブロックは突破すべきです。転職は人生のチャンスであり、自らつくり出せるターニングポイントなのですから。
もちろん、嫁ブロックを無理やり突破しろ、ということではありません。
転職の目的は、質問者さんご自身の満足はもちろん、ご家族がハッピーになることにあると思います。成功する転職のためには、早い段階から奥様と十分にコミュニケーションをとり、現職での悩みや子どものことについて情報共有し、お互いの価値観や思いを擦り合わせていくことが大切だと思います。志を同じとするチームメイトとして、ご夫婦で転職勝利を目指しましょう。
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