キャリアコンサルタントに聞く vol.102
これまでの「正社員」は、フルタイム・転勤あり・異動ありを前提とした、いわゆる総合職採用でした。しかしポストコロナの今、個人が自由度の高い働き方や暮らしを通じて、生産性を高め、豊かさや仕事のやりがいを感じられるようにしていくことが求められています。
多様な働き方ができれば、企業に多様な人材が集まり、組織の多様性を成長につなげることができます。
職務内容、勤務地、労働時間などを限定して選択できる 「多様な正社員」制度を導入・運用する企業は増えており、厚生労働省も制度の普及・定着に力を入れています。
多様な正社員には、以下のようなものがあります。
転勤するエリアが限定されていたり、転居を伴う転勤がなかったり、あるいは転勤が一切ない正社員
例:全国転勤のない営業職、 限定された店舗で働く販売スタッフ
担当する職務内容や仕事の範囲が他の業務と明確に区別され、限定されている正社員
例:ディーラー、ITエンジニアなど特定の職務のスペシャリスト
所定労働時間がフルタイムではない、あるいは残業が免除されている正社員
例:短時間勤務(1日6時間程度)の事務職
では「多様な正社員」を導入することで、企業側、労働者側それぞれにどんなメリットがあるのでしょうか。
企業側のメリットとしては、たとえば介護のため転勤が困難で辞めざるをえない従業員の離職を防ぐなど、優秀な人材の確保・定着が可能になります。また勤務地限定正社員として地元密着の人材採用を行でば、地域に根ざした事業展開につながるでしょう。
労働者側のメリットとしては、勤務地や残業時間をコントロールできるようになり、ワーク・ ライフ・バランスが実現できることが一番です。ライスステージが変化し、育児・介護等の事情により転勤やフルタイム勤務が困難になっても、就業を諦めることなく、能力を発揮できます。
また、特定の職務のスペシャリ ストとしてのキャリアアップも可能となります。
「多様な正社員」の普及により、転職市場も「A社の正社員からB社の正社員へ」というストレートなものから、より多様なものになっています。
近年は、リモートワークやフレックスタイム制度など、労働者がライフスタイルに応じて働く時間や働く場所を柔軟に選択できる「多様な働き方」も広がっており、これまで家庭の事情でフルタイム勤務・転勤ありの正社員として働くことは難しいと考えていた方にも広く門戸が開かれています。
私たちフォーラムキャリアのコンサルタントも「多様な転職」のサポートに力を入れていきたいと考えています。