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キャリアコンサルタントに聞く vol.101

50歳で転職は可能ですか。

Q:50歳で転職は可能ですか。
現在50歳、何度か転職を重ねて今の会社で15年勤務しています。が、パワハラ気質の上司とどうしても合いません。上司とは年齢はそう変わらず、今後の異動の見通しもないため、今の会社では平穏な日々は期待できません。ただ業務内容や待遇には納得、満足しています。定年まであと10数年だと思って我慢すべきか、あるいはまだ10年以上あると思って別の仕事を探すべきか、悩んでいます。特にスキルや資格もない50歳の自分にできる仕事があるのかと不安もあります。

A:転職はチャンスであり、リスクでもあります。両者を天秤にかけて冷静に判断を。

ご質問ありがとうございます。
まずは「50歳の転職」のリアルをデータから見てみましょう。

総務省統計局の「労働力調査(詳細集計)」によると、2023年の転職者数は328万人でした。これは前年より25万人の増加です。時系列で見ると、転職者数は2019年の353万人をピークに下がり続けていましたが、2022年より増加に転じています。
2023年の転職者を年齢別でみると「25~34歳」が82万人で最も多く、「35~44歳」が59万人、「45~54歳」が57万人、「55~64歳」が50万人と続きます。この数字を見ると、転職は若い世代のものだけではないと感じます。

50代が転職を考える主な理由が役職定年です。
役職定年により年収がダウンし、任される仕事の内容が変化することに伴い、それなら転職しようと、ある意味背中を押される人が増えます。

もちろん事情はそれぞれです。
厚生労働省の「令和4年雇用動向調査結果の概況」を見ると、前職を辞めた理由として、「職場の人間関係が好ましくなかった」「能力 ・ 個性 ・ 資格を生かせなかった」「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」といった理由を挙げている人も各年代で一定数います。
実は、質問者さんのように職場の人間関係を理由に離職する男性の割合は、50~54歳が最も高いのです。「定年が見えてきた中で、もう人間関係で我慢したくない」「役職定年で収入が減るなら、せめて人間関係が良い職場で働きたい」という意識が働いているのでは…と想像します。

50代転職者が増加している背景には、人手不足という企業側の事情もあります。地に足のついた転職活動をすることで新たなキャリアを踏み出すことは十分可能です。

質問者さんはスキルも資格もないとおっしゃいますが、現職で15年勤務しているなら、何か身についたものがあるはずです。経験やスキルの棚卸しをして自己理解を深めましょう。
またおそらくこれが最後の転職になります。仕事に何を求めるのか、どんな人生を送りたいのか、といった価値観や考え方を明確にしておきましょう。
もうひとつアドバイスできることは、心身の健康管理に気を配りましょう、ということです。
転職活動は、精神的にも肉体的にも大きな負担がかかるものです。ひとりでプレッシャーやストレスを抱えず、家族や転職のプロのサポートを得ながら転職活動を進めることが大切です。

転職はチャンスであり、リスクでもあります。両者を天秤にかけて、冷静に考えましょう。
特に質問者さんは業務内容や待遇には満足されているとのこと。チャンスよりリスクの方が重いと感じるなら、転職を検討するより、現状の改善を考えるほうがいいかもしれません。


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